藍は、古くから世界中で染められてきた植物染料の一種です。古くはエジプトの王朝時代にさかのぼり、日本へは飛鳥時代に中国から伝えられました。その後、江戸時代に入ると木綿栽培の普及に伴い、西日本を中心に各地で栽培、染められるようになりまた。特に阿波徳島では、吉野川の氾濫による肥沃な土地を利用した蓼藍栽培が行なわれ、阿波藩の奨励もあり一大産地に発展しました。十九世紀末ドイツで化学藍(インディゴピュア)の合成が成功し世界に広まると、植物染料の藍は減少の一途をたどりましたが、近年その独特の風合い・魅力が見直されています。
藍の種類
蓼藍 学名・Polygonum tinctorium インドシナ南部の原産・タデ科の一年草
琉球藍 学名・Strobilanthes タイ・ミャンマー辺りの原産・キツネノマゴ科の多年草
印度藍(木藍)学名・Indigofera tinctoria インド原産・マメ科
(南蛮駒繋)学名・Indigofera suffruticosa アメリカ原産・マメ科
大青(ウォード)学名・Isatis tinctoria アブラナ科の二年草
すくも藍づくりの工程
3月上旬に蒔種をし、約一ヶ月後、間引きを行ないます。5月頃になると20センチほどに成長した苗を本畑に移します。6月下旬頃花の出る直前の葉を刈り取り、刈り取った藍は天日で乾燥させ細かく切断します。その後、風に舞わせて葉と茎に分けます(藍粉成し)。9月頃より、この乾燥された藍に水を打っては切り返す工程を行ない、発酵させます。この切り返しを20回ほど行ない、100日間かけてすくもとなります。
染色のしくみ
多くの植物染料は、煮出すことによって色素を抽出し媒染剤で発色し染色しますが、藍の色素であるインジゴは水に不溶性の色素であるため、その方法では染められません。そこで不溶性である色素を一旦アルカリ浴で水に溶ける色素(インジゴホワイト)に還元し繊維に吸収させ、その後空気や水で酸化させインジゴに戻すことで染色することができます。また、藍は染め重ねることで、淡い水色から濃紺まで染めることができます。
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