松煙染は、松の煤(すす)を使った染色です。
松などの脂分を含む木を燃やして得た煤が原料となっています。書道に使われる墨も同じものを原料としており、染材としてよりも墨として発展してきました。
墨の原料となるのは煤と*膠(にかわ)で、それをを練り合わせたものが墨になります。墨には大きく分けて2種類あり、松を燃やしたときの煤を使うもの(松煙墨)と、菜種・胡麻・桐などの植物油を燃やした煤を使うもの(油煙墨)に分けられています。
松煙染には、膠で固めていない松煙を使った染色です。
※膠:動物の骨や皮に含まれるゼラチン質状のもので、接着剤として使用
染色方法について
松煙を豆汁に混ぜよく撹拌し、これを染液として布や糸などを染めます。定着を強めるために蒸し器を使って蒸し、水洗いをして仕上げます。
松煙は染料ではなく顔料であるため、布などへ定着させるために豆汁を使います。豆汁は、水でふやかした大豆をすり潰して布などで漉した液体です。空気中の炭酸ガスに反応すると水に不溶性になる性質を利用して、固着剤として使用します。
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